その印刷物、著作権を侵害しているかも?印刷前にチェックしよう!
世間でいわれる著作権侵害ですが、実際どこからどこまでが著作権侵害にあたるのかよくわかりませんよね。そのような方へ、著作権や肖像権、商標権の詳しい内容を解説します。重い罰則がある権利ですので、ぜひ参考にしてください。著作権侵害を行っていないか確認をしたうえで、イラストや写真を使用するようにしましょう。
著作権と違反者への罰則
著作権とは、著作物を守るための権利です。著作物とは、思想または感情を創作的に表現したもので、文芸や美術、学術、音楽の範囲に属するものをいいます。私的な使用の範囲を超えて、他人の著作物を無許可でコピーして、上映や改変、配信、切除などをすることを著作権侵害というのです。
また、無断でコピーすることを禁止している著作物に対して、コピーして配布してしまう、配布する目的で保有していることも著作権侵害にあたります。無断でコピーしたものを配布することは、有料ではなく、無料だとしても著作権侵害です。著作権を侵害すると罰則を受けます。罰則は民事上の請求と法律違反の罰則の両方を受けることになるでしょう。著作権侵害の罪に問われた場合は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金です。そのほか、著作者人格権や実演家人格権の損害、法人が著作権侵害を行った場合はより罰則が重くなります。
なお、罰則は懲役刑と罰金刑の両方を科されることがあります。著作権は、原則として著作者が亡くなってから70年間保護されますので、著作者が亡くなったから著作権もなくなるということにはなりませんのでご注意ください。
肖像権や商標権にも気をつけよう
まず、肖像権と商標権について説明します。
肖像権とは、芸能人やスポーツなどの実在の有名人について、第三者が勝手に撮影する、漫画などに描いてはいけないという、個人を守る権利です。
一方、商標権とは企業や団体、個人などが商標登録をしたデザインやブランドなどを、勝手に使ってはいけないという、デザインなどを守る権利です。
どちらも権利として守られているため、権利を侵害すると罰則の対象となります。肖像権については刑法上の罰則規定がないため、民事上の損害賠償請求を起こされるでしょう。好きな芸能人の写真を勝手に使ってしまう方が後を絶たないので、人の写真をインターネットにアップするときは要注意です。
一方、商標権は、商標権が侵害した人に、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科されます。また、侵害されたとみなされる行為だとしても、5年以下の懲役または500万円以下の罰則が科されるのです。こちらも有名企業が使用しているキャラクターだから誰もが勝手に使ってよいということはありません。有名なキャラクターやデザインを使用するときは、許可を取ってから使用してください。
なお、著作権侵害と同じく、懲役刑と罰金刑の両方が科されることもあります。そのため、どちらも訴えられる可能性がありますので、充分取り扱いには注意してください。
印刷前に注意すべきポイントとは
権利を侵害していないか印刷前に確認する主なポイントは以下の通りです。
手描き作品でも権利の侵害をしているとされるので注意
手書きには著作権はないと思われがちですが、手書き作品にも著作権は認められますので、勝手に使用していないか確認してください。
無断で有名人の画像を使っていないか
有名人の名前や芸名などを印刷するのは大丈夫ですが、写真の掲載は侵害にあたります。人が多くいる中で撮影したから大丈夫、というわけではありませんので注意ください。
フリー素材の規約を破っていないか
フリー素材だからといって、何に使ってもよいわけではありません。フリー素材の規約に、商用目的の使用は禁止、サイトに著作者のバナーを入れるなどの制限があります。こういった制限を破ると著作権侵害になってしまいます。
著作物を使用するときに著作者から使用の許可を取っているか
一番安全なのは、著作者に著作物の許可を取ることです。承諾料や使用料などの金銭が発生するケースがありますので、ご注意ください。また、著作物の使用を口頭だけで許可を取るとトラブルになるので、書面で著作物の使用を許可されたという証明を残しておきましょう。
印刷物の責任を自分で負えるか
自分が印刷会社への印刷発注をする場合、著作権侵害を問われるのは、印刷会社ではなく、発注者である自分です。印刷会社は細かく記事をチェックするわけではありませんので、著作権侵害をしていないかのチェックは自分でしっかりと行ってください。
著作権や肖像権、商標権を解説させていただきましたが、罰則が重いことに驚かれた方もいることでしょう。原稿を印刷するときには、印刷するときに注意しなければいけないことを考えて、著作権侵害にならないようにすることが大切です。勝手に他人のものを使用するという行為は、危険ですので、これは使用しても大丈夫という確信をもって使用しましょう。著作権は特別な登録をする必要がなく、公表したときから発生しますので、その点に関してもご注意ください。